いよいよ「機動戦士ガンダム戦記」が発売になりました! アバンタイトルの映像は見て頂けましたでしょうか? 前回の更新に引き続き、アバンタイトルの内容に迫るインタビュー企画のVol.2をお送りいたします。お話をお聞きしたのは前回にも登場いただいた、ゲームのチーフプロデューサーで、アバンタイトルのプロデューサーの稲垣浩文さん、そして映像制作のプロデュースを担当されたサンライズの梅崎淳志さんです。




− 今回は発売後ということで、より映像の細部についてお話をお聞きしたいと思います。まず、前半では主人公であるユーグ隊長の戦いが描かれています。

稲垣 ユーグは1年戦争中に部隊を全滅させてしまった、というトラウマがあるんです。過去に「41号作戦」という戦闘があって、そこで部隊を全滅させてしまったんですね。「アバンタイトル」のア・バオア・クーでも、補給中の部隊が全滅しています。ユーグのそういった背景をより印象付ける為に「アバンタイトル」で、描いていただきました。

梅崎 本当は「巻き込まれ型」なんですよね。でも、結果としてはそうなってしまうので、かわいそうなキャラクターです。そもそも補給中にビグロに襲われたのはユーグ隊長の責任では無いですしね。あと、あのビグロ部隊ですが、松尾監督の中ではビグロに乗っているのは学徒動員された若い兵士たちで、上官の命令によって訳も解らず出撃させられているイメージだそうです。

稲垣 だからビグロなのに、ユーグ隊長にあっさりやられてしまっていますね。

− 後半はエリク側のストーリーに切り替わりますね。

稲垣 ゲームのキャラクターとしてはエリクとクリストが登場しています。クリストは足を負傷していてゲーム中ではメカニックとして登場するんですが、その負傷する場面が描かれています。ほとんど死亡してもおかしくないような撃たれ方をしていますが、運が良かったのか悪かったのか…

梅崎 これに懲りずに地球にまで行ってゲリラ活動を続けるクリストに乾杯という感じです。パイロットとしては優秀だったのかもしれませんが、いかんせん乗ったのがザクだったというのが不運だった。でも、たぶんザクの方が乗りやすかったんだと思います。

稲垣 戦争に負けたのはエリク側なんですが、映像としての見せ場が多いのはエリク側の後半部分かもしれませんね。最初にザクがマシンガンの弾倉を交換するじゃないですか。あそこに引かれる人が結構いるみたいです。確かにプラモデルはああなっているけど、映像ではあまりないシーンですよね。

− ここでジオングが登場します。

稲垣 ジオングの登場シーンがかっこいいんですよ。手前のドムに人がくっついていたり細かい描写が良いです。ワイヤーもゆらゆら揺れたりして。ワイヤーあそこから出るんですね。

梅崎 ジオングは急遽投入されたため、通常の発進口ではなく物資の搬入口から出てくるという感じになっています。このジオングのカットはスタッフの間でも評判が良いです(笑)

稲垣 エリクにも「足がないぞ、あれで正解なんだ…」って言われてますね(笑)

梅崎 整備兵にも「足なんて飾り」って言われてましたからね。でも、足のついたジオングがキックをする場面をアニメーションで描けば「これも正解なんだ…」となるかもしれませんね。・・・誰か作ってくれないかなぁ(笑)

稲垣 確かに、だから足が無いジオングはガンダムに勝てなかったのかな(笑) 今回の映像で見るジオングの強さは半端無いですね。劇場版「めぐりあい宇宙」と似たようなカットも出てくるので、この映像を見ると改めて「めぐりあい宇宙」を見たくなります。

梅崎 そうですか、それは狙い通りです!(笑) ビグロもそうですが、「めぐりあい」の映像の中から今回の「アバンタイトル」に使えそうな場面を探してきているので、見比べていただけると面白いと思います。こちらが想像して新しいシーンを作るよりも、お客さんの見たいシーンを用意してあげる方が喜んで頂けると思いますし、我々もその方が嬉しいですし。戦場の位置関係も考えて作られているんですよね。劇中にでてくる「Sフィールド」や、「Nフィールド」も配置を合わせてあります。シャア達が居たところにエリクもいるようにしてありますし、ビグロが居たと思われる部分にユーグたちも配置してあります。やはりそういう部分は「めぐりあい」を見ながら考えていきましたし、富士急ハイランドで上映された、おなじア・バオア・クーを舞台にした「ガンダム・ザ・ライド」の映像なども参考にしています。

− その後にガンキャノンが出ますね、しかも203号機が。

稲垣 ガンキャノンを出すなら、203号機がいいな、と思っていたんですよ。203号機はだれが乗っているかわからないガンキャノンなんですが、「めぐりあい」でワンカット映っているんですよね。カイとハヤトの108号機、109号機もいるんですが、エリクとは出会わない方がいいかなぁ、と。

梅崎 はじめ松尾監督は108号機か109号機がいいなぁと言われてましたね(笑) でも、出会ったらエリクがやられちゃいそうですし。203号機もホワイトベースの所属機で、ひょっとしたらジョブジョンが乗っているかもしれない(笑) 映像でもエリクのゲルググを倒すまでもなく踏み台にしてますから。

− そして「連邦の白い悪魔」ガンダムの登場です!

稲垣 あのジオングを見た後でも、ガンダムの強さは飛び抜けていますからね。ジオングに撃たれても軽く避けながら飛び去っていきますから。あんなに何機も撃墜しているジオングなのに、ガンダム一機に当てられない。

梅崎 エリクの撃つビームライフルも当たり前のように避けますからね。アムロがはじめてシャアのザクと出会ったときもこんな感じだったのかもしれません。ジオングに撃たれる時も、ガンダムは撃たれる前に振り返って避けていたりします。キャラクターとしてのアムロとシャアこそ登場しませんが、そのあたりの描写には松尾監督も作画さんもこだわっていただいています。ガンダム以外にもホワイトベースも登場しているので探してみてください。何回か見るとそういう細かい部分のこだわりが見つかるので面白いと思いますよ。

稲垣 このカットはドロワもいて象徴的ですよね。ア・バオア・クーは逆さになっているし。ジオンの敗北を表していますよね。特に、ギレンが死んだという原作を知っている人が見ると「ゾクッ」と来るような、そういう部分も今回はきちんと反映しています。最後の場面は停戦後なので、違う場所では、アムロがランチに向かって飛んで行っている所でしょう。

梅崎 ここに出ているドロワはドロス級の2番艦で、2隻ともア・バオア・クーにいたことになっているんです。ドロスは「めぐりあい」に出てきている艦で、ドロワは0083でガトーの母艦と言われている艦ですね。

− 0083では「ドロワは沈んだ」と言われていますが…

梅崎 爆発して消滅してしまった訳ではなく、機関を破壊されて動かすことも出来ず、戦艦としての機能を停止しているという表現になっています。

稲垣 デラーズ・フリートとの関係もゲーム中に登場していて、終盤ではエリク達にモビルスーツを供給してくれたりしていますよ。

梅崎 今回のアバンタイトルの背景は劇場版「機動戦士Zガンダム」で美術監督をやって頂いた、甲斐政俊さんがお一人ですべて描かれています。それと戦艦のハーモニー処理もお一人でやっていただいています。このドロワのハーモニー処理は僕のお気に入りカットです。

アニメには「セル」と「背景」というものがあるのですが、「セル」は背景に比べてどうしても情報量が少ないんです。そのため、この「セル」の情報量をアップするためにペイントされていない線画のデータから、グラデーションを掛けたり、汚しを入れたりして一から存在感を作り上げる作業を「ハーモニー処理」といいます。このドロワも含め今回のアバンタイトルの殆どの戦艦にはこの手法をとっています。

冒頭の破壊されたサラミスのブリッジなども、もちろんハーモニー処理です。しかも、あのカットは3Dで破壊されたブリッジをモデリングして、ハーモニー処理されたセルをテクスチャーとして張り込んでいます。なかなか気がつかれないと思いますが、そのような感じでCGも色々と使っています。

梅崎 あと、CGといえば、遠景にある爆発やビームの光、バーニアの噴射光などは今回CGで作業しています。松尾監督とも相談しまして、今回、新しい方法で試してみました。これらのエフェクト処理は、素材を最初からCGで作って合成すると、セルアニメのガンダムとしては違和感があるんです。そこで、爆発やレーザー光をセル素材として描き起こしたものを、CG処理して空間に張り込むことで作画しています。見て頂くお客様にはCGだと気づかれないと思いますが、こういう部分は気がつかれないのが我々の正解です(笑)こういう部分を見て頂くためにも大画面での視聴をオススメします!

− 今回はHD画質の新作映像ということも嬉しいですね。

梅崎 そうですね。ファーストガンダムを扱った映像としては、はじめからフル・デジタル作画でHD画質の、ストーリーのあるセルアニメという物は初かもしれませんね。

稲垣 凄い物を作ってしまいました! これを見るには初回生産版を買っていただかないと見れません! ぜひ初回生産版をお買い求めいただき、この機会にPS3(R)をネットワークに繋いで映像を見て頂きたいですね!

− 今回はありがとうございました。


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